よく「お大事に」とか「養生してね」とか言うけれど…

「養生」とは、生命(いのち)を養うこと。

では、具体的にはどうしたらいいのか?

養生と言えば『養生訓』

江戸時代の健康で長生きするためのバイブルともいえる医書で、1712年に書かれました。

著者は江戸時代を生きた儒学者で医師の貝原益軒(かいばらえきけん)

『養生訓』は当時のベストセラーになり、現在でもその考え方や精神は今日の一次予防につながるものとして注目され続けています。

注目したいのは、貝原益軒が83歳で養生訓を書き上げたこと。人生50年といわれた江戸時代に、貝原益軒は85歳まで生きました。最期まで頭脳明晰、寝たきりにもならず晩年にベストセラーまで飛ばしたという、まさに健康長寿を体現した人物です。

養生訓には
「当たり前のことを当たり前にできないと心と身体が病気になる。与えられた命と身体に感謝して慎み深く、そして自分の人生を楽しんで生活するべきである」
という精神のもとに、生活するうえでの心得が全八巻を通して書かれています…

と言いながら、私自身も写真の本を手にしたのはずいぶん前にも関わらず、
じつはまだパラパラ読み・・・

そんなことで紹介するのもなんですが、
300年を超えた現代にも通じることだらけの内容なのです。
(…ということは、人間ちっとも成長していないのか?)

ちなみにこの養生訓、総論から各論合わせて全八巻(章)で476項目。
1つ1つはそれほど 長い文章ではありませんし、しかも現代語訳版。
現代に残された江戸のベストセラーを 私も読んでおかなくては!
…ということで、今回は総論部分をかいつまんでご紹介させていただきます。

自分の身体は自分だけのものではなく、天地・父母の恵みを受けて生まれ育ったものであるから、不摂生をして身体を傷めつけることはしてはいけない。
養生を学び、健康を保つことが大切である。欲のままに生活するのではなく、生まれてきたことに感謝をし、日々 慎ましやかに楽しく生活することが長生きにつながる。
授かった命、身体を欲のままに傷めつけるようなことはせず、定められた寿命を受け入れて全うするように、控えめに穏やかに、自分なりの楽しみを持って生活することが大切である。

そんなに無茶なことはしていないつもりですが、
夜更かしはするし、ついつい甘い物を頬張って しまう私。

そう言えば去年コロナに罹った時も、オーバーワークだったよなぁ…と、反省が尽きません。

せっかく薬屋という職業に就き、学んでいるのだから、
養生を身につけ、
ご縁をいただいた方々にもお伝えしていきたいなぁと思っております。