妊娠を考えたとき、

「葉酸を摂った方がいいのかな」
「何か特別なことを始めた方がいいのかな」

そんなふうに考える方も多いかもしれません。

もちろん、妊娠を考えたときに必要な栄養や生活について知ることは大切です。

その一方で、

妊娠のためのからだづくりは、妊娠を意識したその日から突然始まるものではない

と感じている人も少なくないのではないでしょうか。

毎日の食事。
眠ること。
身体を動かすこと。
冷えすぎないこと。
疲れをためすぎないこと。
心が少しでも穏やかでいられること。

そんな一見ふつうの毎日の積み重ねが、今の自分の身体をつくっています。

今回は、そんな「妊娠する前からのからだづくり」について、日々の暮らしを振り返りながら綴ってみようと思います。

まずは、今の暮らしを振り返ることから

からだづくりというと、何か特別なものを足すことに目が向きがちです。

でも、その前に大切にしたいのは、毎日の暮らしに思いを巡らせてみることです。

ちゃんと食べる。
よく眠る。
身体を動かす。
深く呼吸する。
無理を重ねすぎない。

どれも当たり前のことのように思えます。

でも、忙しい毎日の中では、その当たり前が意外と後回しになってしまう日もあるのではないでしょうか?

食事を抜いたり、簡単なもので済ませたり。
寝る時間が遅くなったり。
ずっと座りっぱなしだったり。
疲れていても休めなかったり。

そんな小さなことの積み重ねも、少しずつ身体には影響していきます。

月経も、日々の暮らしと無関係ではありません

前回、「月経は、からだから届くお便り」と書きました。

月経は、子宮だけの出来事ではありません。

普段の食事や睡眠、冷え、疲れ、ストレスなど、日々の暮らしの影響が身体全体に表れ、そのひとつとして月経の様子に変化が出ることもあります。

経血の色や量、塊、痛みなども、自分の身体を見つめる手がかりのひとつです。

ただし、何かひとつだけを見て、身体の状態を決めつけるものではありません。

大切なのは、

「最近の私はどうかな」
「いつもの私と比べてどうかな」

と、身体全体を見ていくことだと思います。

経血の色や状態を東洋医学ではどのように見るのかについては、また改めて詳しく書いてみたいと思っています。

食べることは、身体をつくること

毎日の食事は、これからの身体をつくる材料です。

身体を動かすエネルギーも、血液も、ホルモンも、私たちが日々口にしているものを材料にしてつくられています。

令和3年に厚生労働省が改定した『妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針』というものがあります。

ここでも、妊娠してから急に食生活を変えるのは難しいため、妊娠前から適切な栄養をとることが大切だとされています。

また、若い女性では、エネルギーやさまざまな栄養素の摂取が十分でないことや、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度が低いことも課題として挙げられています。

こうしたことを考えると、

何か特別な食品をたくさん足す前に、まずは日々の食卓を大切にするということが大事だと思うのです。

主食・主菜・副菜をそろえる。

ごはんなどの主食で、身体を動かすためのエネルギーをとる。
肉、魚、卵、大豆製品などの主菜で、たんぱく質をとる。
野菜、海藻、きのこなどの副菜から、ビタミンやミネラルをとる。

そして、できるだけ一日三食、きちんと食べる。

指針でも、「主食」を中心にエネルギーをしっかりとること、不足しがちなビタミン・ミネラルを副菜から、たんぱく質を主菜からとること、カルシウムを意識することなどが示されています。

若い女性にとっては、

「食べすぎないようにすること」だけでなく、
「必要なものを、きちんと食べること」も大切。

私は、そこをとても大事にしたいと思っています。

葉酸や鉄、カルシウムなど、妊娠前から意識したい栄養については、また別の機会にもう少し詳しくお伝えできたらと思っています。

眠ることも、立派なからだづくり

睡眠は、ただ疲れを取るだけの時間ではありません。

眠っている間にも、身体はその日の疲れを整え、次の日に向かう準備をしています。

忙しいと、どうしても睡眠を削りがちです。

「あと少しだけ」
「今日くらいは」

そんな日が重なって、いつの間にか寝不足が当たり前になっていることもありませんか?

だからこそ、

「最近、ちゃんと眠れているかな」

と、ときどき自分に聞いてみる。

それも、自分の身体を大切にするひとつの方法です。

妊娠を考えているかどうかにかかわらず、質の良い睡眠は、健康な身体をつくるための大切な土台だと思います。

「冷え」についても、自分の感覚を大切に

「冷え」とひとことで言っても、感じ方は人それぞれです。

手足がいつも冷たい。
お腹が冷える。
冷房の中にいるとつらい。
冷たい飲み物ばかり飲んでいる。

そんな自分の感覚も、今の身体を知るひとつの手がかりです。

何でも「冷えが原因」と決めつける必要はありません。

ただ、自分が「気持ちいい」「ほっとする」と感じる状態を大切にしてみる。

温かいものを飲む。
湯船につかる。
少し歩いて身体を動かす。
お腹や足元を冷やしすぎない。

そんな小さなことからでもよいと思います。

ストレスをなくす、ではなく

「ストレスをためないようにしましょう」

とよく言いますが、ストレスをまったくなくして暮らすことは、きっと難しいですよね。

仕事のこと。
家族のこと。
人間関係。
将来への不安。

生きていれば、いろいろなことがあります。

だから私は、「ストレスをなくす」ことよりも、

自分が少し緩める時間を持つこと

の方を大切にしたいと思っています。

深呼吸する。
外を歩く。
好きな音楽を聴く。
誰かと話す。
お風呂にゆっくり入る。
今日は早めに眠る。

ほんの少しでも、自分が「ほっ」とできる時間を持つ。

それも、身体を整えることのひとつです。

妊娠を望む人だけの話ではありません

こうした話は「妊娠を考えている人のための話」と思われるかもしれません。

でも、そうではありません。

今、妊娠を望んでいる人も。
今は望んでいない人も。
将来子どもを持つかどうか決めていない人も。
妊娠を望まない人も。

自分の身体を知り、日々の暮らしを整えていくことは、その人自身の健康のために大切です。

これが、「プレコンセプションケア」という考え方にもつながっています。

「妊娠するために身体を整える」というより、

これから先の自分のために、今の身体を大切にする。

その先に、もし妊娠や出産という未来があるなら、その身体が新しいいのちを迎える土台にもなっていく。

私は、そんなふうに考えています。

特別なことより、今日できることを

からだづくりは、完璧を目指すことではありません。

今日、ちゃんとごはんを食べる。
今夜は少し早めに眠る。
少し歩いてみる。
身体を冷やしすぎないようにする。
深呼吸してみる。

そんな小さなことの積み重ねが、これからの身体をつくっていきます。

妊娠する前から。
そして、妊娠する・しないにかかわらず。

未来のために何か特別なことを始める前に、
まず、今日の自分の身体を大切にすることから。

そんなことを、一緒に考えていけたらと思っています。