「我が子を大事に育てたい」と思う すべてのママに届いてほしい 母乳育児シリーズも最終章となります。

子育てに不安や悩みはつきもの。特に母乳育児中は「これでいいのかな?大丈夫かな?」と多くの疑問や不安が生じると思います。私自身も、「これきっと、2人目だったら悩まないんじゃないだろうか…」と思いながらも悩みながら毎日を送っていました😅 

当時は、悩んでいるうちに時間が過ぎて、いつの間にか忘れていて結局うやむやに…ということも多々ありました。もやもやを抱えているママたちに解決のヒントになればと思い、私自身の経験も踏まえたり、その後に学んだことなども参考にしていただきたく、いくつかのQ&Aをご用意しました。

これまでの内容と重複する部分もありますが、書き加えたものもありますので、お読みいただきたいと思います。新米ママたちの疑問と不安が解消し、安心して母乳育児を続けられましたら幸いです。

第6章:母乳育児の「Q&A」‐よくある質問にお答えします

Q
母乳の量が足りているかどうか、どうやって判断できますか?
A

母乳の量が足りているかどうかを判断するためには、以下のサインを確認しましょう。

  • おむつの数:
    新生児の場合、1日に6〜8回の濡れたおむつが目安です。
  • 体重の増加:
    赤ちゃんの体重が1日平均18~30gの割合で増えているかを確認します。医師の定期健診で体重をチェックしましょう。
  • 満足している様子:
    授乳後に赤ちゃんが満足して落ち着いているかどうか。
  • 第2章赤ちゃんが十分に母乳を飲んでいるサイン にも詳しくご紹介しています)
Q
授乳中に乳首が痛いのは普通ですか?
A

授乳初期に軽い痛みを感じるママは少なくありませんが、適切なラッチ(赤ちゃんの唇や舌の動き、ママが赤ちゃんを自分の方に引き寄せる身体の動きなど一連の動作)で正しく吸ってもらうとほとんどの痛みを防ぎ、また回復していくことができます。

赤ちゃんが乳頭だけを吸っているとトラブルを起こしやすいようです。私も乳首に傷ができて痛くて辛かった経験がありますが、赤ちゃんに上手に飲んでもらっているうちに傷も治り、痛みもとれていきました。以下のことに気をつけてみてくださいね。

  • ラッチの再確認:
    赤ちゃんが乳頭だけを吸っているとトラブルを起こしやすいため、赤ちゃんのラッチが正しいかどうかを確認しましょう。おっぱいの含み方が浅い場合は、一旦吸いついているおっぱいを離して入れ直します。ママの指を1本やさしく赤ちゃんのお口に入れると楽におっぱいを離してくれます。そうして、赤ちゃんが大きく口を開けた瞬間をとらえておっぱいを深く入れ直します。必要に応じて母乳育児に詳しい助産師さんにも見てもらうといいですね。
  • 乳首のケア:
    授乳後に乳首を乾燥させ、保湿クリームを使用することで痛みを軽減できます。※産婦人科で処方してもらうのも良いと思います。
Q
夜間授乳を減らす方法はありますか?
A

ママの体力の回復を考えると、夜にまとめて睡眠をとりたいことと思います。夜間授乳については、いろいろな考え方がありますが、私の知識の範囲でここに書かせていただきます。

まず、夜間授乳を減らすことは可能ですが、赤ちゃんの成長段階に応じて行うことが重要です。特にお産後1か月くらいまでは、夜間でも赤ちゃんが泣いたら飲んでもらうようにしましょう。

なぜなら、母乳は消化が早いこと、赤ちゃんの胃袋は小さくて(生後1か月で卵くらいの大きさ)一度にたくさんは飲めないからです。すぐにお腹がすいてしまうのは健康の証です。ですので、逆に4~5時間ぐっすり眠って起きない赤ちゃんは、オムツを替えたりして起きてもらってからおっぱいを飲ませてあげましょう。

お産後1か月が過ぎて発育が順調であればわざわざ起こす必要はありませんが、ママの体内リズムの観点からみると、母乳をつくるホルモン・プロラクチンは夜間に最大となります。小さな赤ちゃんが夜でもおいしいおっぱいが飲めるよう、ママの体内リズムがそうなっていると思うと人間って素晴らしい!と思いますし、離乳食が順調に進むようになる頃までは夜間も赤ちゃんの要求に応じてあげていただきたいと思います。

さて、そのように赤ちゃんが成長していった後に、だんだんと夜間授乳を減らしていくことは可能です。以下のポイントを参考になさってください。

  • 段階的に減らす:
    徐々に夜間授乳の回数を減らし、昼間の授乳を増やします。
  • パートナーの協力:
    夜間の対応をパートナーに頼むことで、赤ちゃんが母乳以外の方法で落ち着くことを覚えるのを助けます。
Q
搾乳した母乳の保存方法について教えてください。
A

搾乳した母乳は以下の方法で保存できます。

  • 冷蔵保存:4°C以下の冷蔵庫で保存し、24時間以内に使用するのが理想的です。
  • 冷凍保存:-18°C以下の冷凍庫で保存し、3〜6ヶ月以内に使用します。
  • 保存容器:無菌の保存容器や専用の母乳保存バッグを使用しましょう。
保存方法温度保存期間
冷蔵4°C以下24時間
冷凍-18°C以下3〜6ヶ月
Q
母乳育児中の食事で気をつけるべき点は何ですか?
A

母乳育児中の食事で気をつけるべき点は以下の通りです。第3章もぜひ繰り返し読んでくださいね。

  • バランスの取れた食事:
    多様な食品を摂取し、栄養バランスを保つことが大切です。手の込んだものでなくても、新鮮なもの、旬の食材を選んでいくといいですね。栄養についてお困りの時は、安全安心で質のよいサプリを利用するものよい方法です。信頼できるお薬屋さんにご相談ください。
  • 水分補給:
    十分な水分を摂ることで、母乳の質と量を維持します。
  • カフェインとアルコールの制限:
    アルコールは母乳分泌を抑えてしまうことと、ママが飲んだアルコールは母乳に移行することが分かっています。妊娠中と同様、授乳中も禁酒をおすすめします。どうしてもの時は飲酒直前に授乳し、2~3時間以上空けてから次の授乳をするようにします。カフェインは、一日あたりコーヒー2~3杯であれば赤ちゃんに影響はないといわれていますが、よく知られているようにカフェインは中枢神経系を興奮させます。早産で生まれた赤ちゃんや健康上の問題を抱えた赤ちゃんはカフェインの代謝に時間がかかるので、ぐずったり眠れないということがあるかもしれません。カフェインはコーヒーや緑茶だけでなく、いくつかの食べものにも含まれています。神経質になる必要はありませんが、口にするものに関心を持つことは、このあとに続く育児や家族の健康な身体づくりにもつながることですね。
Q
母乳育児がうまくいかないと感じたときの対処法は?
A

母乳育児がうまくいかないと感じたときは、以下のステップを試してみましょう。

  • 専門家に相談:
    地域の助産師さんやお産をした医療機関に相談してみましょう。具体的なアドバイスをもらえるはずです。オンライン情報からも同じ悩みを抱えたママたちの体験やその解決法を知ることで励ましを得ることができます。
  • サポートグループに参加:
    同じ悩みを持つママたちと交流し、情報共有や励ましを受けることができます。
  • ストレスを減らす:
    わずかな時間でもママがほっとする時間を確保しましょう。可能なら赤ちゃんをみてもらってゆっくりお風呂に浸かったり、好きな音楽を聴くなどママだけの時間を過ごすことでストレス軽減を図りましょう。ママがリラックスして気持ちを楽にすることが一番の対処法です。

ここまでのまとめ

母乳育児には多くの疑問や不安が伴いますが、適切な知識とサポートがあれば、それらを乗り越えることができます。この章で紹介したQ&Aは、母乳育児に関するよくある質問に対する具体的な回答をご用意しました。ママたちが安心して母乳育児を続けられるよう役立てていただけたらと思います。母乳育児の旅を楽しみながら、赤ちゃんと一緒に成長していきましょう。

おわりに

妊娠期間を経て、やっと会えた赤ちゃん。元気に育ってほしい…そう願って、一生懸命にがんばっているママの努力が一見上手くいかなかったり空回りしているかのように感じても、毎日の積み重ねが一歩一歩の足跡となって子育ての1ページを作っていきます。

その中の母乳育児は始まりの数ページですが、ママと赤ちゃんが共に歩んだ大切な時間。それぞれの環境でその時その時にできる最大限のことがやれたなら、母乳育児の旅は大成功です。この旅はその後につづく育児に、ママ自身が自分に送る大きなエールになると私は信じています。

母乳育児シリーズ「授乳期のママへ」最後までお読みいただきありがとうございました。

産科医でも小児科医でも助産師でも保健師でもない私が母乳育児にこだわるのは、母乳が食の始まりで、食は健康に生きる礎となると確信しているからです。目指すのは完母ではなく、赤ちゃんにとってより良い食を提供すること。そうすることで、赤ちゃんの心や感覚もまた健やかに成長していくことでしょう。

このコラムが、授乳期のママやこれからママになる方の目に留まり、少しでも役に立てることがあれば嬉しいです。

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