「我が子を大事に育てたい」と思う すべてのママに届いてほしい、母乳育児シリーズです。
みなさん、こんにちは!
これから赤ちゃんを迎える新米ママたちへ、母乳育児についてお伝えしたいことの第2章です。
当たり前のことですが、授乳期間はずっとは続かない「期間限定」です。人によってその期間はさまざまですが、赤ちゃんと一緒の「旅」みたいな時間だなぁと思います。
あれこれ準備があるけれど、その準備も楽しんでほしいし、実際、旅に出てみると、予定通りじゃないことも起こったりしてオロオロするかもしれないけれど、その都度ちょっと見直したりしながら、旅を楽しんでいただきたいと思います。
- 授乳期のママへ ~プロローグ~
- はじめに
- 第1章 母乳育児を始める前に知っておきたいこと
- 第2章 母乳育児の旅を充実させるための基本ステップ ← 本記事
- 第3章 母乳育児中のママの栄養と養生
- 第4章 職場復帰と母乳育児の継続
- 第5章 サポートとリソース
- 第6章 Q&A よくある質問に答える
第2章: 母乳育児の旅を充実させるための基本ステップ
母乳育児の旅の準備として、まずちょっとした予備知識を得ておきましょう。
ポジショニング(ママと赤ちゃんのそれぞれの姿勢と身体の向かい合い方)と、ラッチ(赤ちゃんの唇や舌の動き、ママが赤ちゃんを自分の方に引き寄せる身体の動きなど一連の動作)の技術を知っておくこと。また、授乳の適切な回数やタイミングを知っておくこと。これらは旅の充実度を上げる鍵となります。
この章では、これらの基本ステップを見ながら、授乳中に起こりやすい問題とその解決策をお示しします。
授乳のポジショニングとラッチの技術
おっぱいを上手に飲んでもらうには、正しいポジショニングとラッチが大きく影響します。以下のような流れでやってみましょう。
- 快適な授乳位置を見つける
リラックスした状態で赤ちゃんを抱き、授乳クッションを使用してサポートする。赤ちゃんの体全体がママの方を向いていて、お互いの体が密着するようにする。ママの体は前屈みにならず、赤ちゃんの体をおっぱいの高さまで引き寄せて抱く。 - 赤ちゃんに「おっぱい飲もうね」と語りかける。
- 赤ちゃんの口と乳首を合わせる
赤ちゃんの鼻が乳首の向かいに来るようにし、赤ちゃんが口を大きく開けたときに乳房を優しく押し込む。 - 正しいラッチを確認する
赤ちゃんの唇がチューリップの花びらのように外側に反り返り、乳輪の大部分が赤ちゃんの口の中にあることを確認する。
正しいポジショニングとラッチがなされると、お乳もよく湧いて出てきて、乳首の痛みも軽減してくれます。
授乳の回数やタイミング
- 赤ちゃんの合図に注意してみましょう
泣く前に、赤ちゃんが空腹の合図(手を口に持っていく、舌を出すなど)を示すことが多い。 - 授乳は「要求に応じて」
赤ちゃんが空腹を示したら、授乳する。通常、新生児は2〜3時間おきに授乳が必要ですが、2時間なくても欲しそうに感じたらあげてみる。 - 夜間授乳の重要性を理解する
夜間も授乳を行うことで、母乳の供給を促進します。母乳をつくるホルモンプロラクチンは夜中の2時くらいに最大になることから、夜の母乳が一番おいしいと言われています。そんなおっぱいをあげないのはもったいない!(と思っています💕)
授乳中に起こりがちな問題とその解決策
1.母乳不足感
赤ちゃんは十分な母乳を飲んでいるのに、ママが「足りない」と感じる時に使われる言葉。
そんな不安があるときは、以下の「赤ちゃんが十分に母乳を飲んでいるサイン」で赤ちゃんの様子を見てみましょう。
「赤ちゃんが十分に母乳を飲んでいるサイン」
◉時間以内に少なくとも8回母乳を飲んでいる。
◉授乳の際、吸啜のリズムは母乳が出ているとゆっくりになり、嚥下の音やごくごく飲み込む音が聞こえることがある。
◉赤ちゃんは生き生きとしていて筋肉の張りがあり、皮膚の状態も健康である。
◉授乳と授乳の間は満足している様子である(ただし、十分に飲んでいる赤ちゃんが別の理由でぐずることはあり、それによってママが自分の母乳が足りないと思い込むこともある)。
◉24時間に色の薄い尿で6~8枚(布の)オムツをぬらす(紙おむつの場合はもっと少ないこともある)
◉24時間に3~8回便をする。月齢が進むを便の回数は減ることもある。
◉1日平均18~30gの割合で体重が着実に増えている。
◉ママの乳房は授乳前には張っているような感じがあり、授乳後には柔らかくなることがある(ただし、すべての女性がはっきりとした変化を経験するわけではない)。
2.乳量の不足
①赤ちゃんが十分に飲み取れない場合と②母乳を作る量が少ない場合があります。
①の多くの場合、抱き方・含ませ方を修正するだけで上手に飲み取れるようになるでしょう。また「赤ちゃんが欲しがったときに欲しがるだけ」授乳すると、十分な量とりわけ脂肪分が多くなる後乳を飲むことができるので赤ちゃんの体重も増え始めるでしょう。
②の場合も、赤ちゃんの吸う刺激が十分に加わることでママのお乳もたくさん作られるようになりますので、①と同様に「赤ちゃんが欲しがったときに欲しがるだけ」授乳することがポイントです。また、ママの栄養状態や水分の補給も重要です。
3.乳首の痛み
不適切なラッチが最も一般的な原因です。適切な抱き方・含ませ方と吸い付かせ方を見直してみましょう。また、搾乳器が正しく使用されていない場合(サイズが合わない、必要以上の強い圧がかかっている、無理に外す)や、感染による痛みの可能性も考えられます。必要に応じて授乳の専門家に相談することも大事です。
4.乳腺炎
乳腺の詰まりや感染が原因です。定期的な授乳や搾乳で乳房を空にし、感染の症状があれば医師や助産師に相談しましょう。定期的な授乳ができない背景にはいろいろなことがあると思いますが、ママのストレスと疲れは乳腺炎の最も一般的な要因とされています。ママがリラックスできる暮らしも大切にしたいですね。
※乳腺炎については、食事との関係も大きいと私は考えています。詳しくは第3章でお話しします。
母乳育児は時にチャレンジングな体験ですが、適切な知識とサポートがあれば、多くのママがこれらのチャレンジを乗り越え、自分だけのゴール地点へたどり着くことができます。繰り返しの毎日の中にも発見や新しい学びがあり、楽しいだけではないけど、このプロセスが母と子の絆を深めていくはずです。
追加のヒントとサポート
- サポートネットワークの活用・・・授乳に関するサポートグループやオンラインコミュニティに参加して、経験やアドバイスを共有しましょう。身近な子育ての先輩ママとの交流があれば心強いですね。
- プロの助けを求める・・・乳腺炎や乳量不足など、自己解決が難しい問題に直面した場合は、授乳コンサルタントや医師に相談してください。
- 健康的なライフスタイルを維持する・・・バランスの取れた食事と十分な水分摂取は、母乳の質と量に良い影響を与えます。また、十分な休息も非常に重要です。
まとめ
母乳育児の旅を充実したものにするには、時に困難を伴いますが、正しいポジショニングとラッチの技術、赤ちゃんの合図に応じた授乳、そして起こりがちなトラブルを早めにキャッチし対処することによって、これらの困難を克服することができます。この章で紹介したガイドラインとヒントを活用し、母乳育児のプロセスをより快適で充実したものにしましょう。そして何より、この特別な時間を楽しみ、あなたと赤ちゃんの価値ある経験としていただきたいと思います。
母乳育児は、あなたの赤ちゃんにとっての愛と絆の旅です。この旅を全うするためには、情報、サポート、そして何よりもあなた自身の内なる強さと愛が必要です。この素敵な旅路を信じ、一歩ずつ進んでいきましょう。